子供たちの口に異変が起きています。

8割超の子供たちに歯列不正がみられます。乳歯が生えたばかりですでに歯列不正という子も少なくありません。また約4割の子供たちに口呼吸がみられるとの報告もあります。口呼吸は、 歯列不正の原因になるだけでなく健康にも良くありません。

さらに嚥下(飲み込む)時の舌や頬の動きに異常がある子供も増加しています。

1歳までがとても重要

乳幼児期のベビーケアの良し悪しが、きれいな歯並びになるか、乱れた歯並びになるかの分かれ道と言っても良いかもしれません。きれいな歯並びの子供に育てるには、1までがとても重要なのです。

特に授乳期に、正しい嚥下(飲み込み方)や固形物を食べるための「お口の力」を育む必要があります。

咀嚼や嚥下といった動きは、練習して身につけるもので、この時期に基本を身につけないと歯列不正になる可能性が高くなります。

歯並びは、背骨の発育とも密接な関連があります。背骨の発育は、抱っこの仕方や寝かせ方のなどの影響を受けます。

乳幼児期の抱っこの仕方や寝かせ方で脊柱の弯曲が、違ってきます。実際に歯列不正の子供には、背骨の弯曲がうまくできていない子が多く見られます。

歯列不正の原因

baby

 

生まれてすぐの赤ちゃんは、口を閉じ鼻から呼吸をしています。舌も正しい位置にあります。しかし授乳の仕方、抱き方、寝かせ方などにより、口呼吸や間違った嚥下癖が定着すると歯並びが悪くなります。したがって歯列不正の原因を作らない事が大切です。下図は、不正咬合の原因の循環図です。

1つの原因が他の原因を作り、悪循環が始まります。正しい発育には、この悪循環を断ち切る必要があります。

不正咬合の原因の循環図

咀嚼回数の減少が問題にされます。確かに良く噛むことは、顎骨を育てる必要条件です。しかし歯列不正の原因がそのままでは、正しい発育は望めません。

したがって早期に歯列不正の原因をなくし正しい発育に戻す事が非常に重要です。治療を先延ばしにしても自然に治る事は少なく、治療が困難になるケースがほとんどです。

遺伝の影響に関しては、いろいろな研究がありますが、歯並びに及ぼす影響は、2割程度と考えるのが妥当のようです。つまり後天的な環境や生活習慣の影響が大きいという事です。